段落を作ったり、改行するための規則・基礎 | 小説の書き方講座

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段落を作ったり、改行するための規則・基礎

小説を書くには、段落と改行が基本。しっかりと覚えましょう。

小説を書くには「段落」をつけなくてはいけません。
業界ではこの段落のことを「センテンス」と呼びます。しかし……

 

「一体どこで改行すればいいの?」 「決まりとかあるの?」

 

……とは思いませんか?ここでは「段落の作り方。改行の仕方」の基礎をお教えします。
なぜ「基礎」という部分を強調したかというと、改行の仕方には応用編があるからです。詳しく説明してゆくために、ここでは私が実際に専門学校で書いた提出物を題材にしたいと思います。

 

課題のお題は「(当時、私たちに小説の書き方を教えてくださっていた)講師の生活ぶりを捏造する」というものでした。「捏造」(ねつぞう)とは「でっちあげる」「勝手に想像する」という意味です。一応、10段階評価で「9」(非常に良い)をもらった作品なので、参考になるかと思います。
※実際の文章では改行ごとに1行空けたりなどは絶対にしませんが、サイトでの読みやすさと、後の解説のため、改行ごとに1行空けて表示しますのでご了承くださいませ。

<例題>

 西野晃の朝はモーニング・コーヒーの豊潤な香りで始まる。無数の本で埋め尽くされた部屋は多少埃っぽく、小さな木製の屑篭も紙屑であふれかえっていはいるが、洋風的な脚の細い机と椅子が置かれているこの部屋に、その濃厚な香りが似合わないわけでもなかった。
 彼はここで四六時中ペンを握っている。

 

 睡眠時間が極端に短い彼にとって、部屋の隅に置かれているだけのベッドはあかの他人も同然。まして寝てみる夢の世界などほど遠い存在である。

 

 彼はライターであり、雑誌の編集者、そして村崎作家専門学校の講師としても活躍中で、原稿用紙と戦い続ける毎日を送っていた。特に生徒たちに授業をする金曜日と、課題を提出される次の月曜日からの忙しさは異常なほどだ。あまりの忙しさに部屋を掃除する暇もなく散らかり放題となっているが……どうか誤解しないでいただきたい。彼は根っからのキレイ好きである。その証拠に、常に机の上だけはきちんと片付けられていた。そして仕事に必要な写真やデータもすっきりと整理されている。

 

 彼は朝のコーヒーのその一口目を、まずゆっくりと飲み、そして溜息をつく。その後は時間を惜しむように早々とカップを傾け、残りを一気に流し込む。食事をする間もなく机へと向かい、コーヒーが残していった微かな余韻の消えぬ間に、ペンを動かし、仕事をこなしてゆくのだ。

 

 昼食は12時ちょうど。昼時に流れるニュースを聞きながら、同時に新聞の記事にも目を通す。編集部に顔を出すのは午後から。そして帰りは大抵次の日の未明となる。

 

 暇な時間があれば、彼は本を読む。常に勉強。教養を深めていくことを怠らない。体を動かしたいときは、町内を軽く一周。仕事がら、目からくる肩こりや腰痛などは日に日に増してゆくばかり。食事にも偏りができ、疲労も重なって体調が良いとは言えない状態ではあるが、彼は決して休まなかった。

 

これが、彼の生きがいであるから。

【解説】

「西野晃の〜似合わないわけでもなかった。」までのワンセンテンスは、主人公の<部屋の描写>としてまとめられている。「コーヒーの豊潤な香りで始まる。」で改行しなかったのは、その後の一文が、その香りが似合う部屋だと表現しているためで、この二つの文章は「コーヒーの香り」という主題でまとまっているのでつなげました。

 

そして<部屋の描写>が終わり、主語が「彼」に変わったので改行。
「ペンを握っている。」の一文は、彼が前のセンテンスで説明した部屋で、日頃何をしているのかを簡潔にまとめた文。その後に続く<睡眠時間の話>とは全く関連性がないので、ここは一文のみで改行。

 

続く二つの文章はいずれも<彼と睡眠時間の関係について>説明するものなので繋げてあります。しかしその次の文にこの睡眠時間は関係ないので、またもここで改行。

 

「彼はライターであり〜」から始まり「データも整理されている。」までの長いセンテンスは、<彼>についての具体的な内容が書いてある。彼の仕事内容⇒その仕事が忙しい⇒忙しくて部屋が汚い⇒でも彼は実はキレイ好きだという流れ。主題は<彼という人物についての説明>で統一されているので、少し長いですが、これでワンセンテンスとなります。

 

次の文章も実は<彼のこと>について書かれているので、主題も似ているし、前のセンテンスとつなげたくなりますが、「彼は朝のコーヒーを〜」から始まるセンテンスは、<具体的な彼の朝の様子>を、コーヒーを一口飲む……というようなミクロ描写まで仔細に書いており、すでに<彼という人物の説明>ではないので、この二つのセンテンスの間には改行が必要なのです。

 

「昼食は〜」からのワンセンテンスは、前のセンテンスと同じ<具体的な彼の様子>になりますが、仔細な様子ではなく<昼から次の日の早朝にかけてのおおまかな生活の流れ>になっており、前の段落とは時間の流れが違うので改行します。

 

その次は、もう説明しなくても分かるかもしれませんが、<彼は暇な時間に何をするか>がかかれているセンテンス。

 

そして、最後の一文は「決め台詞」として強調する意味も込めて、改行を入れました。

段落と改行のコツ

さて、何となくでもお分かりいただけましたか?

 

 主題が変わる。カメラアングルが変わる。時間の流れが変わる。視点が切り替わる……そういう場合に、小説では改行を入れるのです。

 

ここで、前回の「文章練習1」「文章練習2」で学んだことが役立ってきます。ここからここまでには何が書かれているのか。書き手が自分の文章をしっかり把握していれば、改行のタイミングなど簡単に掴めます。冒頭から「。」までの間の……もしくはその後に続く文章たちの主題が何であるのか、見極める力が必要です。

 

改行の方法が分からないからと言って、「。」ごとに改行していては小説になりません。それは「作文」の文法です。自分の書く文章の内容を、しっかりと理解した上で執筆しましょう。
また、これらの基礎をふまえた上で、改行を応用して使うのであれば、私の文章の最後の一文のように、強調したい部分をわざと改行して目立たせるという手法があります。
しかしいくら目立たせたいからと言って、「私には超能力がある」という一文を……

 

 私には、  超能力がある。

 

……と、するのはやめましょうね(笑)。

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