伏線は大きなものから小さなものまで様々。使い分けることが肝心 | 小説の書き方講座

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伏線は大きなものから小さなものまで様々。使い分けることが肝心

伏線とは何か? その重要性はいかに?

伏線とは言わば「計略」。発動させるためには手順が必要で、上手く利用することにより、物語の内容に相乗効果を生み出すことが出来ます。

 

 物語は足し算ではなく、掛け算でなければならない。

 

これも専門学校時代に散々言われた台詞ですが、ただアイディアを出して繋げただけでは「小説」にならないと言うもの。一つ一つのイベントは、更なるイベントを盛り立てる為に存在させなさい。そして最終的に、数々のイベントもキャラクターたちの言動も、すべてがこんな風に動かなければこのラストはなかったなと思わることが肝心。その為には各所(イベントやキャラクターの言動・心情)を何かで繋げておくことが重要なのだ、と教えられました。

 

例えばこれはビーズアクセサリーの作り方に似ています。まっすぐな糸に一つずつビーズを通してゆくだけでは、簡素で粗末なネックレスしか作れません。しかし、ビーズ内部で糸を交差させることにより、ビーズで幾何学的な模様を形作ることも、美しい球体を作ることも可能になります。このビーズがイベントやキャラクターたちの言動、そして糸が伏線だと考えてください。ビーズを見事な形に描いているのは糸のおかげで、この糸の繋がりと交差なくして模様は描けません(ビーズアクセサリーの事を知らない方には分かりにくい説明かもしれませんね。申し訳ない…)。

 

ただ糸にビーズを通していくだけで完成してしまう、簡素で粗末なネックレスには何の価値もないが、もしもそのビーズが美しい指輪の形を模していたら。色のグラデーションまでもが緻密に考えられたブローチだとしたら。アート性が高く、誰もが欲しがるデザインだったら。それなら、自信を持って自分の商品とし、値段を付けて売ることが出来ますよね? その「有料にしても売れる自信があるほどの商品」こそが、小説で言うなら「受賞作品」と呼ばれるもの。つまり私たち作家のたまごたちが今、目指している小説の形なのです。
作品の内部にこの糸(伏線)を張り巡らせることは、物語をより美しく、より完成度の良い作品に仕上げるために必要です。説明不足かもしれませんが、伏線の重要性を少しでもお分かりいただければ幸いです。

 

 また、伏線は魔法で言うなら、呪文に例えることができます。

 

使用する魔法が目の前の敵を倒す程度のものならば、その場で一言呪文を唱えれば済むでしょう。しかし国を一つ滅ぼしてしまうような大きな魔法を使うには、決められたポイントで決められた呪文をあらかじめ唱えておくことが必要だ……と言う方が、分かり易いでしょうか。
魔法を使用するなら、やはり小技ばかりを出すよりも、最後にドーンと大技を繰り出した方が物語は盛り上がりますよね。ではこれらの魔法を小説上で上手く唱え、最後に大技を発動させるためにはどうすれば良いか。例を挙げてご紹介して行きたいと思います。

小さな伏線の張り方(小技の魔法)

小技魔法(伏線のことです)の唱え方には二種類あります。

■ 先に呪文を唱えておいて、後から時間差で発動させるものと。
■ 発動させた後に、穴埋めのごとく呪文を唱える場合です。

 

呪文が先・時間差で発動させるタイプ

主人公と彼女とのラブラブぶりを前フリとしてどこかで書いておく(この部分が呪文・伏線になります)。

 

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彼女が友人たちに「資産家の息子じゃなければ、誰があんな男と付き合うもんですか」と言っている場面を書く(ネタの真相)。

 

呪文が後・先に魔法を使ってしまう場合

彼女が友人たちに「資産家の息子じゃなければ、誰があんな男と付き合うもんですか」と主人公の悪口を漏らしている(ネタの真相が伏線になる).

 

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主人公と彼女のラブラブぶりを書く(ネタばらし)。

 

 どちらの方法で魔法を使用しても、彼女が「悪女だ」というイメージを読者に植え付けることが出来ます。さらに主人公の言葉に対して、思わず「チッ」と舌打ちする彼女の様子を書いたり、他の男とも付き合っているような場面を付け足すことにより、どこまでも彼女を「悪女役」に出来ますね。

 

呪文が先・時間差で発動させるタイプ

主人公の家族が事故 or 事件により全員急死したことを書く(この部分が呪文・伏線になります)。

 

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しばらくぶりに会った知人のおじさんに「ご家族は元気かな?」と聞かれて、「はい、勿論」と主人公に答えさせる(この答えが嘘だと読者は理解できる)。

 

呪文が後・先に魔法を使ってしまう場合

しばらくぶりに会った知人のおじさんに「ご家族は元気かな?」と聞かれ、僕は思わず「はい、元気です」と笑顔で嘘をついた……と書いておく(これが嘘だと最初に述べておく)。

 

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主人公の家族が事故or事件により、最近、全員死亡したことを書く(詳細なネタばらし)。

 

 どちらの方法でも、主人公がまだ家族の死を信じていない、あるいは疑っている、または死んだのだと認めたくない様子を感じさせることも出来ますし、嘘をつくことが何かの策略だとしても良いですね。普段は明るく振舞う主人公が、ふとした瞬間にか弱く涙するシーンなどを入れると、色々な意味でより効果的になるでしょう。

 

たった二つの例しか挙げていませんが、「伏線を張る」という事が具体的にどのようなことを示すのか、お分かりいただけたと思います。「伏線」だとは知らずに似たような方法を作中で書いていた初心者の方も多いでしょう。実は皆、知らずに「伏線」を使っていた……という場合が非常に多いのです。
ですが今度は、知らずに使うのではなく、意識して使うことを心がけなければなりません。上記はあくまでも小技としてご紹介しましたが、次のような展開に仕上げれば、最終的には大技にすることも充分に可能です。

 

大きな伏線の張り方(小技魔法の集体系)

大きな伏線とは、つまり、小さな伏線の積み重ね、交差により生まれます。

■ 主人公と彼女とのラブラブぶりを早い段階で書いておく。主人公といつも行動を共にしているサブキャラが、主人公のノロケ話にウンザリした様子を見せる。「そう言えば、この前告白するって言ってた女の子はどうしたんだ?」という主人公の台詞に、泣きながら「すでに男がいた」と語るサブ。

 

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■ 彼女が友人たちに「資産家の息子じゃなければ、誰があんな男と付き合うもんですか」と言っている場面を書く。その会話をサブキャラが偶然耳にする。サブキャラと主人公の仲の良さや、絆の深さを表すようなエピソードをこの辺から徐々に盛り込んで行く。

 

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■ 主人公の命を狙う不可解な怪事件が発生。彼女が主人公との会話の中で舌打ちをする場面や、他の男とデートしている場面をはさみ、彼女が犯人なのではないかと、序盤で読者に疑わせる。

 

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■彼女をコソコソと付け回し、行動を探るサブキャラ。主人公も最近の彼女が少しおかしいと気付き、サブキャラに相談するが、サブは「考えすぎだ」と主人公を励ますような態度を取る。

 

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■ 主人公を狙う事件が大小を問わず次々と発生。事件が起きた現場にて彼女の姿を度々主人公とサブが目撃。ついには彼女と連絡が取れなくなる。

 

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■サブは彼女がしていた言動を告げ、彼女には注意しろ、犯人かもしれないと言う。

 

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■そこへ事件の犯人とおぼしき人物から、殺されたくなければ大金を用意しろとの要求がある。

 

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■ 彼女が主人公の隙を突き、直接的な接触をしてくる。質問攻めにしようとする主人公を制して、サブキャラに気をつけろとだけ言い残し、彼女は逃げ去る。主人公は混乱。

 

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■次に起きた事件で、サブキャラが体を張って主人公を守り、多少の怪我を負う。そこへ彼女登場。状況を見て憎憎しげにサブキャラを睨み「何で邪魔ばっかりするのよ!」と叫びつつ、刃物を持って襲い掛かってくる……が、主人公に押さえつけられる。そのまま三人で少々会話を交わすが話しがまるで噛み合わない。ついに彼女は泣き出し、刃物を捨てる。そして主人公に濃厚なキスをし、手がゆるんだ隙をついてまたもや逃走。

 

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■ここでサブに、血が出るほど唇を噛ませ、悔しそうな顔をさせる。

 

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■ 犯人が大金の受け渡し日時と場所を指定してくる。「罠だ!」と引き止めるサブを無視し、主人公は彼女との決着をつける気で指定された場所へ向かう。サブもついて行く。

 

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■時間になっても犯人は現れず、困惑する主人公を背後からサブが襲う。もみ合いになり、主人公はかなりの重症を負ってピンチに。お金を奪われ、トドメを刺されそうになる。

 

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■そこへお巡りさんを連れて彼女が助けにやってくる。

 

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 ここでネタばらしに入る

 

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■ サブは様々な面(金銭面、ルックス、学校での成績、人気度など)で主人公を妬んでいた。サブが告白しようとしていた女の子というのも、実は主人公の彼女。彼女が主人公のことを悪く言っていたのをきっかけに、彼女にしつこく交際を迫り始めるが相手にされない。主人公がいなくなり、自分に大金があれば、彼女は自分と付き合ってくれるのではと考え、犯行を思いつく。彼女が自分の事を探っていることを知り、主人公に事件の犯人が自分であると悟られぬよう、まずは彼女を陥れるところから始める。「主人公を殺す」と脅しては彼女を犯行現場に呼びつけ、あたかも彼女が犯人であるかのように仕立ててゆく。

 

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■ 主人公と親友だと思っていたサブがしつこく言い寄ってくるので、彼女は主人公にサブのことを聞く。すると自分の女に言い寄っているとも知らず、のんきにサブを「いい奴」扱いするので、彼女は舌打ちをしたのだ。他の男とのデートは、他からサブがどんな男か聞き出すための、情報収集の手段だったことが判明。サブが事件を起こそうとしていることを知り、現場に駆けつけると、そこにはサブと主人公の姿。彼女はサブの計画を察知し、現場からひとまず逃走。対策を練ってはサブに立ち向かう、もしくは主人公と連絡を取ろうとするが、携帯を盗まれたり、サブの手下に邪魔されたり、見張られていたりで、結局いつも事件が起きてからしか現場へ行けなかった。友人たちに言った台詞は、単なるテレ隠しで、本心では主人公を愛していた。
サブは逮捕され、主人公と彼女はラブラブでハッピーエンド。

 

三文芝居ですみません。

妬みとは人間を魔物に変える……がメッセージかな……。
ざっとあらすじだけなので、ストーリーに荒さが出ているのは勘弁してください。でも多分伏線が交差するというのは、こういう事です。プロ並みの説明は出来ませんでしたが、何か感じていただけたのではないかと思います。読み終わったラノベをもう一度よく読み直し、どこがどこの伏線になっているのか研究すると、もっと勉強になりますよ!(やはりプロの作品から学ぶのが一番です)。
お粗末さまでした。

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