起承転結を使わないストーリー作りのコツ・2 | 小説の書き方講座

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起承転結を使わないストーリー作りのコツ・2

ストーリーの構成に絶対必要な要素

小説は読者にとって読み解かれます。
その時読み解きの手がかりとなるのは、この読者の読書体験とコモン・センス――すなわち、常識です。
読者は自分の常識を手がかりにして小説の内部世界に入っていきます。そしてまず、その世界への入口となるのが、小説の主人公、あるいは物語の語り手の持つ常識なのです。読者と主人公(あるいは語り手)の知識がどこかでコモン(共通)するからこそ、読者は作品の中に入り込めると言えるでしょう。

 

逆な見方をすれば、読者を作品の世界に導き、虚構にどっぷりと浸らせる(感情移入させる)ためには、読者の持つ常識との接点を必ずつくっておかなければならないということになります。ここで、自分の作品を読んでくれるであろう読者層――つまりは初級編の一番最初で考えたターゲット――が考えてあるかどうかが関係してきます。この読者層を想定できなければ、共通となる常識を考えることが出来ません。小説の作者自身に、想定読者並みの常識がなければ、コモンを作り出すことなど出来ないのですから。

 

例えば、学生時代、学校給食で「脱脂粉乳」を飲んだ経験のない私たち世代には、その時代の学生たちの心境を上手に描写することができませんよね? バス通学しかしたことのない者に、自転車通学の大変さと苦労と楽しみを語れと言っても、なかなか真相に迫れません。なので、作者が持っている経験や知識と、読者の持っている経験や知識がうまくリンクするようなネタをチョイスする必要があります。ここでより多くの読者を掴むためには、作者が多くの経験や知識を持っていることが必要となってきますね。だからこそ、たとえ雑学であろうとも勉強は大切なのですね(いかに知識を勉強するかは<知識を得るには>を参考にしてください)。

 

 この世の全てはネタである

 

そう考て、面倒くさがらず多くの経験をすることをオススメします。
……さて、少々話題が逸れましたが……つまり、ストーリー構成に欠かせない要素というものは、この「常識のリンク」であるということを覚えておいてください。
では具体的に、読者との共通点を考えたストーリー構成について考えていきましょう。

人物か舞台、どちらかを「常識内」に収めること

これから例にあげてゆくものは、常識による読者との接点を「どこに求めるか」について書き記したものです。大きく分けて4つのパターンがありますので、順番に見て行きましょう。自分がこれから書こうとしている作品がどれに当てはまるのか、まずはじっくり見極めて欲しいと思います。

 

■ @人物・舞台、ともに日常的 ■

現代の人物が現代の舞台で活躍する物語のこと。日本・アメリカ・ヨーロッパ等々で、現代の人間が動き回るお話。
これには一つの大きなメリットがあります。それは現代の常識にフルに寄りかかることが出来るという点。携帯電話一つで、働かずしてお金を稼ぐ事だって出来てしまう時代です(簡単ではありませんが)。法律もあり、政治経済も不安定で不景気ながら存在していて、今ある暮らしの中の全てが「常識」となる。難しいことを何も考えなくて良いということですね。
デメリットは、ストーリー構成やイベントなどの出来事を相当工夫しなければ、オリジナリティあふれる作品に仕上がらないということでしょうか。

 

■ A人物が非日常的で、舞台が日常的 ■

非日常的な人物とは、普通ではない人間=超能力者・未来人・異世界の住人・異星人など。こういった人物が現代に現れたら…という物語になる。
これは、最終的にキャラクターが主体の小説として仕上がります。そして、人物の個性を際立たせるために、舞台は日常的であることが要求されるのです。読者は設定の日常性を通して作品世界に参加することになるでしょう。
メリットは舞台が日常的なので、読者を物語の中へ引き込みやすい。
デメリットは、キャラがよほど魅力的でなければ、日常的な舞台とのギャップを感じさせることが出来ず、面白い作品に仕上がらないという点。

 

■ B人物が日常的で、舞台が非日常的 ■

上記とは逆に、日常的な人物が、非日常的な世界=天変地異・宇宙・未来・過去・異世界等々に投げ込まれたら…というお話。キャラクターよりはイベント・事件が主体となります。
メリットは人物が日常的なので、読者を感情移入させやすく、また人物の常識を通して世界を見るので、例え異世界に飛ばされたとしても、人や物を現代の人や物に例えることが出来る。現代の常識が通じるので、表現方法に困ることが少ない。
デメリットは非日常的という「常識ではない世界」を考える手間があること。そこで生活をしている人たちの日常の常識は、ほぼ主人公にとっては常識ではない状態にしなくてはならない。

 

■ C人物・舞台、ともに非現実的 ■

要するに、何もかもがオリジナルすぎて、イッちゃってる話。これを読者に読み解かせようとするには、かなりの知識と物語の練りこみと技巧が必要になるでしょう。異世界人の言葉で書かれた、異世界の歴史というものを考えてみると分かりやすいと思います。
メリットは細々とした人間模様にクローズアップし、非現実的な人物の感情面において読者との共通点を表現できれば、かなりの超大作として面白くなる可能性を秘めている。
デメリットは初心者がそうやすやすと書けるような代物ではなく、また読者にオリジナリティを伝えることが出来なければ、ただの笑いもの・さらしものにされる可能性が高いということ。

 

1番目は、現代ものの一般小説のほぼすべてが当てはまるでしょう。2・3番目には、SFやファンタジーが含まれる。文化考証や歴史的事件などにスポットを当てた時代小説・歴史小説は3番目に当てはまりますね。
4番目に属するのは全てがオリジナルのファンタジーです。
さて、皆さんの書きたい小説がどの部類に入るのか、見極める、または決定することが出来ましたか?
では次の段階<シノプシス>で、それらに当てはめたI・D・C構成を考えてゆきましょう。

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