空間移動・時空を超えた物語の場合 | 小説の書き方講座

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空間移動・時空を超えた物語の場合

二つの世界を同時に描きたい時は、何に注意するべきか

 

メインは異世界へ行った主人公の話なのだけど、現代世界と行き来する話にしたい。あるいはその逆の物語を考えている方も少なくないと思います。
前回は<時間軸の流れ>についてご説明しましたが、原則としては、この時間軸さえきちんと整っていれば、二つの世界の物語を同時に描くことは可能ですし、何の問題もありません。

 

 しかし残念ですが、どちらも平等に描ききることは、恐らく不可能でしょう。

 

まず、当面、貴方が目指さなくてはならないのは、新人賞への応募作品を書くことです。応募作品には必ず規定枚数が定められています。二つの世界を平等に描くということは、規定枚数の半分を使い、二つの短編を書くのと同じことだと考えてください。
世界が二つもあるのですから、当然、自然と登場人物が増えます。しかしその割に、世界を描くスペースが狭いため、世界観を詳しく表現してゆくことが出来ず、<バックグランドを考える>で説明したような、時代の匂いを読者に感じさせることが大変に難しくなるのです。
主人公は一人ですが、それぞれの世界で、それぞれの感情が生まれるはずです。その心理状況を的確に描写し、世界に一体何が起きているのかハッキリとした筋道を立てて伝え、読者の心を強く物語の中へ引き込むには、相当な技巧を必要とするでしょう。

 

 ではそもそも、作家のたまごである私たちが、二つの世界をまたにかけるような壮大な物語を書くことなどできないのでしょうか?

 

 いいえ、出来ます。

 

ただし、どちらをメインとするのかは決めなくてはなりません。そしてメイン以外の世界の出来事はなるべく簡潔に、説明するのみで終わらせることが重要です。つまり、もう一つの世界には物語の進行上必要となる出来事以外、すべてを謎にしてしまいます。
応募作は一話完結の作品でなければならないので、メインとなる事件のみを解決して終わらせます。しかしもう一つの世界に関する多くの謎が残りますよね? これはシリーズ化を狙った作戦です。物語に余白を残すのです。
もう一つの世界については、シリーズ化が決まってから少しずつ書き足していくと良いでしょう。確かに応募作で二つの世界を書ききることは出来ませんが、将来的に見れば不可能ではありません。

 

応募作を超大作にしたい!

 

恐らくそれは、誰もが思うことでしょう。しかし、いくら超大作が書けたとしても、規定枚数を守っていなければ、新人賞の選考では落とされてしまいます。まずは「規定範囲内でどれだけの作品が書けるのか」を競うわけですからね。二つの世界をまたぐような、スケールの大きな作品を書きたい時は、ネタを小出しにすること。徐々に書き進めて行くことが必要になってくるのです。
貴方の作品が素晴らしいものになりますように、お祈りしております。

 

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