文章練習その1・何故伝えたいことが伝わらない文章になってしまうのか | 小説の書き方講座

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文章練習その1・何故伝えたいことが伝わらない文章になってしまうのか

さぁ、いよいよ文章を書く練習を始めます。

いきなり小説を書いたりはしませんよ(笑)。他の「小説の書き方講座」では突然プロット作成から始まったり、キャラ設定から始まったりしますが、それは「小説(文章)が書ける事」が大前提となります。

 

誰からも教えられずに、すんなりと意のままに文章を操る……つまり小説を書くことが出来るのだとしたら、こんなところでこんなサイトを見ていたりはしないでしょう。すでに作家になっていると思います。

 

このことについて、こんな風に語りたいのに、思い通りの「分かりやすい文章」が書けない。

 

……と、悩んでいる方にはまだ、文章をコントロールする力が備わっていないのです。面倒くさがらずに、学ぶことが大切だと言う事は、「知識を得るには」のページでもしっかりと説明しました。ここで少し、文章の書き方について勉強しましょう。

ではまず試しに、次の文章を「わかりやすい」ものに直していただきたい。

 

私が、ゴルフの練習場へ行ったときには、スウィングしているところに知らずに近づき顔を直撃して鼻の骨を折ったというニュース記事がありました。また、最近、テニスを始めたのですが、テニススクールのコーチが年に何人かアキレス腱を切った人や靭帯を痛める人がいるとのことで充分に準備運動を特にストレッチをしっかりやるように、との指導がありました。
(ゴルフ・テニスに関する保険のダイレクトメール)

なにこれ!? 全然意味が分かんない!

 

……と、思われた方は多いでしょう。
()して書いてありますが、これは私の自宅に実際に送られてきたダイレクトメールの文章です。つまり「商用」。こんなめちゃくちゃな文章で勧誘しようとしている保険会社など、到底信用できないと思いました(笑)。
結局何を言いたいのか、全然伝わってきませんね。
何度か繰り返して読めば、どうにか相手の言わんとすることを汲み取ることができますが、もしこんな文章が小説の文中に出てきたとしたら、読者は「意味を汲み取るのに精一杯」で思考が中断されてしまい、ストーリーに入り込めないことでしょう。
この文章がこれほど分かりにくいのには訳があります。

 

 それは、主題(主語)を途中で見失っている、ということ。

 

このような現象は、残念ながら初心者の方の文章内によく見られます。

「主題を見失う」とはどのような現象なのか

このダイレクトメールの送り主は、保険の勧誘がしたいのです。

テニスやゴルフには思わぬ怪我がつきものですよ! ということを伝え、あわよくば保険に加入してもらおうという魂胆。
ところが気持ちばかりが焦ってしまい、ゴルフの練習場へ行ったときの話……という主題が、最後にはニュース記事の話にすり替わっていたり。最近テニスを始めた自分の話……という主題が、コーチの発言を主題とする内容にすり替わっていたりしています。また「」や句点がないばかりに、意味不明さをさらに際立たせているとも言えますよね。
では! この文章を「分かりやすく」修正してみましょう! 手直しに正解なんてありません。ただ、自分が読んで理解できるものに……他人が読んだときに意味が通じる内容に書き替えてみてください。言葉を付け足したり、消したり、書きかえたりは自由です。練習ですから……ね!

手直しする原文

私が、ゴルフの練習場へ行ったときには、スウィングしているところに知らずに近づき顔を直撃して鼻の骨を折ったというニュース記事がありました。また、最近、テニスを始めたのですが、テニススクールのコーチが年に何人かアキレス腱を切った人や靭帯を痛める人がいるとのことで充分に準備運動を特にストレッチをしっかりやるように、との指導がありました。
(ゴルフ・テニスに関する保険のダイレクトメールより抜粋)

参考のため、以下に私が手直しした文章を載せておきますが、これはあくまでも「参考」です。そして必ず、自分で一度手直しを試みてから見てくださいね!

 

■ 修正後 ■

私がゴルフの練習場へ通い始めた頃、「他人がスウィングしているところへ知らずに近づき、クラブが鼻を直撃して骨折した人もいる」という話を聞いたことがあります。また、最近テニスを始めたのですが、テニススクールのコーチから「年に何人かはアキレス腱を切ったり靭帯を痛めたりするので、充分に準備運動――特にストレッチ――をしっかりやるように」との指導を受けました。

 

これなら、「ゴルフ場へ行った時に、こんな話を聞いたの」「テニスを始めたらコーチがこんな事を言ったの」という内容でそれぞれがまとまり、一つずつの文章が主題を貫いてることになります。この文章の後に、「このように、スポーツには怪我がつきものです。保険に入りましょう!」と、勧誘の文章を繋げてもおかしくありません。

 

 書き出しと、終わりが説明している内容を統一する

 

文章を書くときには、これが一番大切になります。
文章を書いたら、「出だし」と「終わり」部分だけを繋げて読んでみてください。「私がゴルフの練習場へ通い始めた頃〜話を聞いたことがあります」「最近テニスを始めたのですが〜指導を受けました」などと、始めと終わりを読むだけでも、何となく意味が通じるようになっていれば、それは一文で主題を貫いていることになると思います。特に一文を長くすると、主題を見失いがちになるので、長い文章を書くときは充分に注意してください。

 

文章をより読みやすくするための工夫

文章というものは必ず「。」で終わるものですが

同じ終わり文句が続くのは良くない(強調したい時などは除く)……と、私は学校で叩き込まれました。
この場合「記事がありました」「指導がありました」と、二つの文章が同じ「……がありました」で終わっているので、文章が単調で、かつ平べったく見えてしまうのです。メリハリを付けるために、私はあえて終わり文句を変えました。
さて、皆さんはどのように手直ししたのでしょう?

 

どうですか? 「分かりやすく書く」というのは、意外と難しいものでしょう? しかし、書き手が「自分が結局何を書きたいのかきちんと理解していれば」決して難しいことではないのです。何度も言いますが、書き始めから「。」までの一文を、一つの主題でまとめることが、文章にとっては一番重要です。
私はこれを確認する意味も込めて、執筆中に「。」を打ったら、文章を最初から読み返す……という習慣をつけています。最初から、というのは、その段落の始めから……あるいは、章の始めから、という意味です。段落と章については後で説明しますが、このような作業をすることにより、執筆とある程度の「編集」を一度に行うことが出来ます。

 

勿論、執筆スタイルは人それぞれなので、これはあくまでも、私のスタイル……という一例にすぎません。マネをしたからといって、必ずしも上手く執筆を進めていけるわけではないので、誤解のないように。
しかし少なくとも、今後説明する「段落」ごとに見直しをするクセはつけておいた方が良いと思いますよ!

 

さて今、例題を「分かりやすい文章」へ「編集」したように、「わかりずらい文章」を「分かりやすく手直しする」という作業は、文章上達法において、とても有効なレベルUP術です。
自分が執筆している際、「変だな」と感じても、原因を素早く見つけることができ、より良い文章へ修正することが可能になります。「編集」の題材は身近なところにありますよ! 普段皆さんが読んでいる本です!

 

自分ならもっとこんな風に表現するのに! 自分ならここで分かりやすくこう書くのに!

 

……ということを、どんどん意識してみてください。
まず他人の文章をきちんと読み解くところから始めなければ、自分の気持ちを文章で表現することも、分かりやすくまとめることも出来ないのですから……。

授業で習った「てにをは」をちゃんと活かしていますか?

「て、に、を、は、が、の、から」などの助詞は文章の中でとても重要な役割を果たしています。

 

◆ 下駄箱から靴を取り出す◆ 下駄箱の靴を取り出す◆ 下駄箱は靴を取り出す◆ 下駄箱が靴を取り出す◆ 下駄箱を靴が取り出す

 

どれも意味しているものや、ニュアンスが違いますよね。この微妙な違いや、ハッキリとした違いを使い分けることで、より分かりやすい文章を狙って書くことが出来るようになります。
しかし逆を言えば、たった一文字の違いによって、伝えたいことが伝わらない文章になってしまうということ。メールでも、ちょっとした文字の違いで勘違いされてしまった!なんてことは、よくありますよね!
確かに一文を通して主題を見失いわないことが大前提ですが、それだけでは分かりやすい文章は書けても、稚拙になってしまいがちです。接続詞を上手に使いこなせれば、いわゆる「目をひく文章」というものが書けるようになってきます。特別な言葉を考え出したり、過激な発言をせずとも、自然に人の心をとらえる文章が書けるのです。

 

「てにをは辞典」という、とても素晴らしい単行本が発売されていますが、

特にこの辞典を読むとそれらのことがよくご理解いただけると思います。
この編者のメッセージには、「言葉の海で溺れてください」とありますが、本当に溺れた気分になります。文章で心がひきつけられるとはこういうことか!と納得していただけるでしょう。
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