地の文の語り口調は、小説全体の雰囲気を左右する大切なもの | 小説の書き方講座

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地の文の語り口調は、小説全体の雰囲気を左右する大切なもの

地の文の語り口調の種類について

所謂「地の文」とは、会話文以外の文章を指します。しかし、いきなり書けと言われても、なかなか書けないものですよね。いくら背伸びをしても、知識が追いついていなければ、書きたいものは書けないものです。
「人称」のページで、作品を一人称にするか、三人称にするか決定したと思いますが、今度はその「口調」をどのような雰囲気のものにするのか決定していきましょう。
単に「地の文」と言っても、筆者の性格、文章技術、執筆経験などにより「書ける文体」と「書けない文体」が出て来ると思います。童話のような雰囲気を持った「です」「ます」調の文体しか書いてこなかった筆者が、突然「だった」「である」などの硬い語尾を使って文章を書くことは、正直とても辛い。技術的に難しいと感じてしまい、小説そのものを書くのが大変に困難なものに思えてくるでしょうね。そして結局は挫折してしまうわけです。

 

確かに小説の内容ごとに地の文を自在に変えることが出来れば申し分ありません。

 

 しかし大抵の場合、皆プロではなく、また執筆経験も知識も浅いためにこれが出来ないのです。

 

ではどうすれば、初心者でも「書きたい文体が書けるようになる」のでしょうか。
これは「知識を得るには」でも少し触れていますが、筆者の執筆能力はこれまでの経験(ここでは読書経験を意味します)で決まってしまいます。人間は、自分が持っている知識以上のものを書くことができません。つまり、過去にシリアスものを多く読み、地の文のテンポや語句の言い回しなどを繰り返し繰り返し頭に入れてきた人間は、ギャグ小説が書けなくて当然。逆にギャグものばかりを読んできた人間が、いきなりシリアス小説を書くことに挑戦するのは無謀だと言えますね。どう考えても筆者には「シリアス」「ギャグ」を書く知識が足りないのですから。

 

つまり「書きたい文体が書けるようになるのか」、もうお分かりですね。そう、ひたすら書きたい文体で書かれている作品を読むことです。だからと言って、100冊読めとは言いません(笑)。読む量はたった1冊でも良いのです。とにかく語尾の言い回し、文章の流れ、口調の速さ(テンポ)などを勉強するつもりで読んでください。そして読み終わってすぐに、そのまま執筆に入ると、「あれあれ? ちょっと書けるかも」という現象が起こります。読書後は、まだ脳内に読んだ物語の雰囲気が多く残っています。そのため、読んだ本の文体を脳が覚えており、最初は少し「マネ」が出来るようになるわけですね。

 

勿論、この「マネ」だけですべてが上手く書けるわけではありませんが、これを繰り返しているうちに、技術は自然と身に付きます。シリアスもギャグも書けるようになってくるでしょう。あとはもう、ひたすら読む⇒書くを繰り返すだけです。読書知識を増やしつつ、執筆経験をどんどん上げて行きましょう。

無理せず、自然体で小説を書く方法

上記では勉強しろと言いましたが……

しかし、もしも貴方が「今すぐ小説を書きたい!」と思っているならば、無理をせずに書く方法があります。
貴方はまだ初心者――作家の卵――なのです。新しい能力を身に付けるよりはまず、今現在持っている能力を育ててゆく方が重要だとは思いませんか?

 

作家さんの中にもいますよね? ギャグ路線でシリーズを書いてきた人が、次のシリーズではシリアスものを出すことが。つまり、ギャグしか書けない人が、今すぐシリアスを書く必要はないのです。シリアスしか書けない人が、応募作を面白いものに仕上げるためにギャグ路線へと変更する必要もありません。「今はギャグしか書けない。けれどゆくゆくはシリアスも書きたい」のであれば、まずはギャグでデビューしてから練習を重ね、シリアスを書けば良いのです。

 

物語が面白いか、面白くないかは全て作中の展開、イベントなどで決まります。ギャグものだからと言って、決して面白いものに仕上がるわけではなく。シリアスだからと言ってすべてが悲しく冷たい物語になるわけではありませんよね? 「てっとり早く面白いものが書きたいからギャグにしよう」や「かっこいい作品にしたいからシリアスにしよう」という選び方はナンセンスとしか言いようがありません。小説家は文章で魅せてナンボ。雰囲気だけで面白い作品に仕上がるほど、小説の世界は甘くないのです。

 

 まずは自分の技量を見極めましょう。

 

自分には今、どんなものがどの程度書けるのか、知ることが重要です。その上で、今回執筆する作品の雰囲気を考えてください。勿論、得意な文体で構いません。

 

「え……? でも今回はシリアスものにしようと思ってそれらしいイベントやストーリー展開を考えたのに……私の得意な文体と言えば、一人称のギャグっぽい雰囲気だけど……それでいいの? シリアスな内容にギャグ的な地の文じゃあ、釣り合わないんじゃない?」

 

……と、不安になる方もいるでしょう。
では逆に問いますが。「仲間の死」というシリアス場面に遭遇した時、「あっはっは、死んじゃったよコイツ!」と笑い飛ばすのがギャグでしょうか? それとも「人間は儚し(墓なし)」などとオヤジギャグを飛ばすのがギャグでしょうか(私のギャグセンスの悪さは見逃してください)? または仲間同士でボケツッコミをかますのがギャグでしょうか? 死んだと思ったらまだ生きてた、とオチを付けるのがギャグでしょうか?

 

それは本当に面白いの? ギャグなの?

 

大切な仲間が死んだのに、涙の一つも流さないキャラクターには、何の魅力もありません。人間性を感じられないからです。それと同じく、別のシリアス場面に直面する度、「そんなのしーらね!」とハナクソをほじるだけのキャラには魅力がありませんし、それだけで終わりならストーリー的にも全く面白みがありません。
しかし、ハナクソをほじって悪態をつきながらも、数時間後にはひょうひょうと敵陣へ乗り込み、想像もつかないような破天荒な方法で目的を果たすキャラがいたなら、魅力を感じませんか? しかも手段を選ばなかったがために、目的は達成したけれど、周囲に及んだ被害が絶大だった。それでも「オレ、し〜らね!」とハナクソをほじるキャラに「し〜らね! ……じゃないだろぼけぇぇぇぇっ!」と飛び蹴りを食らわせ、「あーーーーもうっ! 一体コレどーすんのよ!」と怒り狂うサブキャラがいて。誰の仕業かバレそうになり、思わず二人でその場からトンズラ。その後、僅か数秒で大都市パラムが湖の底に沈んだこの事件は、都市伝説「パラムの青い悲劇」として長く語り継がれる事となる……と締めくくれば少しは面白くなります。

 

では、この物語は全てがギャグだったでしょうか。敵陣へ乗り込み、想像もつかないような方法で人を助けさせ、小声で一言「命を粗末にすんじゃねーよ」と言わせる。助けられた人物は感極まって泣く(勿論、この人がその一言で泣くような前フリがあっての話ですが)。そんな場面を一つ加えるだけで、シリアスとギャグは融合します。またこのメリハリが面白みを生み出したりするのです。
シリアスな内容だから、全部をシリアスな内容で書かなければいけない。ギャグ要素が豊富だから、軽いテンポでずっとギャグを書き続けなければいけない、ということはありません。確かに作品の「雰囲気」を統一することは重要ですが、シリアスばかり、あるいはギャグばかりでストーリー展開を単調にするのでは面白い作品には仕上がりませんよね?

 

 たとえどのような地の文でも、キャラクターをキャラクターらしく(人間らしく、あるいはその人らしく)描き、場面展開を工夫してどんどん続きが読みたくなるような内容にすれば、ギャグ・シリアスを問わず、作品は必ず面白いものに仕上がります。

 

今すぐに小説を書きたい人は、シリアス、ギャグという枠に捕らわれず、自分の最も得意な書き方で考えたイベントやストーリー展開を思う存分に書いてください。ただし小説を書くには文章力が問われます。これだけは練習の積み重ねでしか上達が見込めません。書きたいことを書きたいように書くだけでは、読者には何も伝わらないのです。少なくともこのサイトの「下準備編」と「初級編」をよく読み、よく考えてから執筆するようにしてくださいね。

 

地の文の主な種類と雰囲気について

こだわりを持って、小説の内容と地の文の雰囲気を合わせることはとても大切です。少々の執筆経験があり、通常以上に苦労してでも作品の雰囲気を統一して完成度を高めたい方は、上記で記した「マネ」による文章練習から始めることをオススメします。
ここでは実際小説に使用できる「地の文」の種類を雰囲気別に解説していきます。

固い口調

地の文を少々知的に魅せたいのであれば、口調を硬くすると良い。文章を硬くする際、重要なのは語尾を強く言い切る事。「〜だ」「〜である」「〜い」「体言止め」などを利用し、文章内容に「多少の説得力があるよう、見せかける」事が鍵だ。勿論、物語の内容そのものに矛盾を生み出すような「嘘」を書く事は許されないが、強く言い切ることにより、ワンセンテンスごとに信憑性を持たせる事が出来る。また、意識して漢字を多く使用する事も有効だろう。多目的品アイテム能力解禁わざの名前などに漢字を使用し、わざと造語を作り出せば、文章中の漢字出現率を上げる事も簡単だ。

 

ただし硬い口調を使用する際には細心の注意が必要となる。ライトノベルの読者層はおよそ8割が10代。つまり、あまり漢字を多用しるぎると、分かりにくい、読みにくい、と言った問題点が発生し、読者の心を物語の雰囲気に引き込めない。ミステリーや、ガジェット(アイテム)が多く出現するもの(機械ものなど専門用語や造語の多い物語)、歴史ものには有効な地の文だが、語彙知識の少ない初心者には向かない口調だ。硬い口調は文章を出来るだけ短く、簡潔にする事も重要になってくる。いかに短く、分かりやすい文を書くか。恐らく多くの者は悩む事になるだろう。

通常の口調

これは一般的な三人称の地の文になる。硬い口調との大きな違いと言えば、たまに「口語」が使えちゃったりする点と、語尾を強く強調しなくても良い点。初心者にも書きやすく、「誰かに説明している事を意識して」書くと、上手に仕上がる。
幅広く使えるマルチタイプの地の文で、現代を舞台にしたものから、ファンタジーものまで何とでも相性が良い。ただし、いくら「口語」が使えるからと言って、<これはマルチな地の文だから、どんな書き方をしてもいーのだ>というわけにはいかない。

 

せめて<これはマルチな地の文。どんな書き方をしても良いのだ>くらいの制御は必要。
口語を多く使いたいのであれば、三人称ではなく一人称にし、<その日、その時、その瞬間。思ったことを何でも好きに表現出来るようにしちゃえばいいわけ。これなら少しくらいハメを外してをだいじょーぶだし、ノリと勢いだけで行っちゃえ! って時には使えるよ>と、するのが賢い選択だろう。初心者でも書きやすい地の文だ

柔らかい口調

柔らかい口調を使用するには語尾を「です」「ます」「でした」調に仕上げるのがコツです。男性の方には少し難しいかもしれませんが、お嬢様になった気分で、一つ一つの文章を丁寧に書いてゆくと、優雅な雰囲気を与えることが出来るでしょう。ただし、語尾が単調になりやすい為、あまりオススメはできません。しかし三人称ではなく、一人称として使用するのであれば、問題なく書き続ける事が出来るのです。

 

ほのぼのとした物語にしか使用できない地の文ですが、他の地の文と組み合わせ、使い分けることで、明らかに視点・場面が変わったことを表現することが可能です。
一昔前までは、主に童話や児童書などに多く使われていましたが、最近ではライトノベルでもたまに見かけるようになりました。
多少、地の文を「語る者」として「演技」「なりきり」が必要になり、時には会話文より目立ってしまう傾向もあるため、キャラクター重視の作品には不向きとなるでしょう。

さて、地の文をどのような口調にするか、決まりましたか? 上記のものが参考や目安にでもなれば幸いです。もし決められずにいるならば、書店へ出かけてみると良いですね。そこで片っ端からライトノベルを手にとって、書き出し〜数行を読んでみましょう。「これいいな!」と思ったら、購入して読んでみるか、その場で数ページに目を通し、雰囲気を盗んでください(笑)。アイディアを盗むわけではないので盗作にはなりません。ただし、現在の自分に「書けるもの」を選ぶことが大切です。

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